糸リフトは「何本」より「どこに・どの方向へ」。
本数より設計。本数の目安と失敗しない選び方を、症例2000件以上のたるみ専門医が解説します。
結論:糸リフトは「何本」より「どこに・どの方向へ」が9割
糸リフトの効果を左右するのは「何本入れるか」よりも、どこに・どの方向(ベクター)へ・どんな設計で入れるかです。本数は目的を達成するための手段にすぎません。この記事では、年代別・部位別の本数目安、糸の種類による違い、多すぎ・少なすぎのリスク、そして「バレない・不自然にならない」仕上がりのために実際に何を考えて本数と位置を決めているかを順に説明します。
糸リフトの本数に関する基本の考え方
本数を尋ねると、多くのクリニックで「片側3〜5本、両側6〜10本が目安です」と案内されます。この数字は間違いではありませんが、あくまで平均的な範囲であり、個人差があります。重要なのは「何本入れると、どこにある脂肪・皮膚・靭帯を、どの高さに、どの角度で持ち上げるのか」という設計です。たるみの本質は、脂肪コンパートメントが下垂し、骨格に付着していた支持靭帯が引き伸ばされることで生じます。糸リフトが目指すのは、その下がったボリュームを元の位置に戻すことで、水平方向に引っ張り広げることではありません。同じ8本を使っても、すべての糸を同じ方向に通せば効果は偏ります。本数は設計の結果として決まるものです。
年代別・部位別の本数目安
以下は一般的に言われている目安です。個人差があるため参考値として捉えてください。
| 年代 | たるみの特徴 | 一般的な本数(両側) |
|---|---|---|
| 30代 | 初期のハリ低下・なんとなくもたつく | 4〜6本程度 |
| 40代 | フェイスラインのぼやけ・頬の下垂が明確 | 6〜10本程度 |
| 50代以上 | 皮膚の伸び・脂肪下垂ともに顕著 | 8〜12本程度 |
年齢が上がるほどたるみの総量が増えるため必要な本数が増える傾向にありますが、骨格・皮膚の厚み・皮下脂肪の分布によって大きな個人差があります。
| 部位 | 主な悩み | 一般的な本数(片側) |
|---|---|---|
| 頬〜フェイスライン | ほうれい線・マリオネットライン・もたつき | 2〜4本 |
| こめかみ〜目尻 | 目尻のたるみ・上瞼のはみ出し | 1〜2本 |
| 首・顎下 | 顎のたるみ・首の横ライン | 1〜3本 |
部位が複数にまたがる場合、単純な足し算にならないこともあります。糸同士が近接しすぎると引っ張り合いが生じ、効果が減弱する場合があるためです。
糸の種類と本数の関係
糸には素材・形状・コグ(引っかかりの棘)の設計によって、1本あたりの引き上げ力と持続期間に違いがあります。したがって使用する糸の種類によって最適な本数も変わります。一般的にPDO(ポリジオキサノン)は扱いやすく持続は1〜1.5年程度、PLLA(ポリ乳酸)はコラーゲン産生を促し2年前後の維持が見込まれる場合がある、PCL(ポリカプロラクトン)は吸収が遅く持続が長いとされます(いずれも個人差があります)。また同じ素材でもコグの方向・密度・長さによって引き上げ力が大きく異なり、この形状が入れる方向(ベクター)と密接に関係します。
院長(能登谷)より:本数の前に、まずどの糸を使うかの選択があります。引き上げ力の強い糸を適切な位置に1本入れることで、弱い糸を3本入れるよりも自然で長持ちする結果になることが実際にあります。糸を選んで、位置を決めて、そこで初めて本数が決まる。この順番を守ることが大事です。
本数が多すぎた場合のリスク
「多いほど効果が高い」と考えるのは自然ですが、必要以上の本数にはリスクがあります(個人差があるため必ず起きるわけではありません)。糸を多く入れると皮膚の下の構造物が増え、引っ張り合いのバランスが崩れると表情の動きが不自然になったり、触れると硬さや引きつれを感じることがあります。左右の本数や方向がずれると非対称感につながり、本数が多いほど対称性の管理が難しくなります。施術時間が長くなり組織へのダメージが増えれば、腫れ・内出血のリスクが高まる場合があります。入れすぎた場合の調整は吸収を待つか物理的に取り出す必要があり、後者は技術的に難しくリスクを伴います。
本数が少なすぎた場合のリスク
必要な本数が足りない場合も問題があります。引き上げる力が足りなければ施術直後から効果を実感しにくく、支持する糸が少ないため早期に効果が薄れる可能性があります(個人差があります)。悩みの強い側と弱い側で本数を変える際、判断が甘いと左右差が残ります。「最小限の本数でよい」とは「不必要に多くしない」という意味であって「とにかく少なくする」ではありません。必要なところに必要な本数を入れることが大前提です。
「本数より設計」というベクター思想
糸リフトの失敗・修正相談で最も多いのは、本数が多すぎたことではなく、入れる位置と方向が設計と合っていなかったことです。施術後に「引きつった」「不自然」「幅が広がった気がする」という場合、多くは横方向への引き上げが原因です。顔のたるみは下に落ちているのが本質で、横に引っ張っても落ちたものは戻りません。引き上げるべき方向は垂直に近い斜め上です。ベクターとは糸が組織を持ち上げる方向・角度のことで、顔をゾーンに分けると最も効果的なベクターは異なります(頬の中央部は斜め上方向、フェイスラインはやや縦方向に近い角度、こめかみ〜目尻周辺は外上方向など)。この各ゾーンのベクターを正確に設計したうえで「このゾーンに何本必要か」を判断するのが正しい順序です。目指すのは「3年前の自分に戻る」ような自然な変化で、顔の形を別の顔にすることではありません。
院長(能登谷)より:2000件を超えた今も、カウンセリングで最初に確認するのは本数ではなく、どこの脂肪・皮膚がどの方向にどれだけ落ちているかです。その分析を経て、どこにどの向きで入れるかを決め、最後に本数が決まります。必要以上に本数を増やすことは、効果を上げるどころかリスクを増やすだけです。最小限の設計で最大の効果を出すことが技術の本質だと考えています。
gift clinicの糸リフトメニューと本数の考え方
当院では複数の糸リフトメニューを提供しています。主なものとしてNリフト・アルテミスリフト・ヴィーナスリフトなどがあり、いずれも1本からのモニター価格をご用意しています(最新の料金は料金ページまたはカウンセリングでご確認ください)。各メニューで使用する糸の太さ・コグ設計・得意とする部位が異なるため、「どのメニューを何本」という組み合わせはカウンセリング時に個別に提案します。メニュー名や本数だけで比較することには限界があります。
カウンセリングで確認したいポイント
- どこに・どの方向で入れるか(ベクター)の説明があるか
- 使用する糸の種類と選定理由の説明があるか
- 施術後の腫れ・内出血・引きつれへの対応方針が明確か
- 自分の悩みに近い症例を見せてもらえるか
- 万一の結果に対する修正・調整の方針があるか
リスク・副作用について
糸リフトは身体への負担が比較的少ない施術ですが、以下のリスク・副作用が生じることがあります(個人差があります)。腫れ・内出血(数日〜1週間程度)、糸が馴染む過程での一時的な引きつれ・違和感(通常は数週間〜数ヶ月で改善)、左右差、感染(まれ)、糸の露出・脱出(極めてまれ)。効果の持続期間は糸の種類・本数・代謝により異なり、半年〜2年以上とされますが個人差があります。気になる症状があれば速やかにご相談ください。
よくある質問
Q. 糸リフトは何本から効果を感じられますか?
個人差がありますが、一般的に両側4〜6本程度から変化を感じやすいとされます。ただし本数よりも入れる位置と方向(ベクター)が仕上がりに大きく影響します。少ない本数でも適切に設計されていれば十分な効果を感じることがあります。
Q. 本数を増やせば増やすほど長持ちしますか?
必ずしもそうとは言えません。過剰な本数は引きつれや硬さ、不自然な仕上がりのリスクを高める場合があります。必要な本数を適切な位置に入れることが最も効果的です。個人差があります。
Q. 1本だけ入れることはできますか?
部位・目的によっては1本からの施術も可能です。当院では1本モニター価格をご用意しています。初めての方や特定の部位だけ試したい方にも対応しています。
Q. 糸リフトの本数は年齢で決まりますか?
年齢はひとつの参考指標ですが決定要因ではありません。同じ年齢でも骨格・皮膚の厚さ・脂肪の分布・過去の施術歴によって必要な本数は大きく異なります。カウンセリングで個別に判断します。
Q. 他院で多く入れすぎたと感じています。修正はできますか?
吸収性の糸であれば溶けるまで待つのが基本です。引きつれや硬さが強く出ている場合、物理的な調整が必要なケースもあります。まずカウンセリングで現状を確認し、適切な対応を提案します。
糸リフトの「本数」と持続期間の関係
「本数を増やせば長持ちする」と思われがちですが、持続を左右するのは本数よりも糸の種類と設計です。引き上げ力の強い糸を適切な位置に入れたほうが、弱い糸を多く入れるより自然で長持ちすることがあります。一般的に吸収糸の持続は半年〜2年程度とされますが、糸の種類・もとの状態・生活習慣によって個人差があります。
糸リフトの料金(本数課金)の考え方
糸リフトは「1本いくら」で表示されることが多く、本数が増えるほど総額も上がります。当院ではNリフト・アルテミスリフト・ヴィーナスリフトなどがあり、1本モニター価格もご用意しています(最新は料金ページまたはカウンセリングでご確認ください)。注意したいのは、安さや本数だけで選ぶと「不要な本数を勧められて高額」「設計が伴わず効果を感じない」という後悔につながりやすい点です。なぜその本数・その料金なのかを、状態に基づいて説明してくれるかを確認しましょう。
施術当日からダウンタイムの流れ
一般的な流れの目安です(クリニック・術式により異なり、個人差があります)。
| 時期 | 目安 |
|---|---|
| 当日 | カウンセリング→麻酔→糸の挿入。施術自体は短時間のことが多い |
| 当日〜数日 | 腫れ・内出血・つっぱり感が出ることがある |
| 1〜2週間 | 内出血や口の開けにくさが落ち着いてくる |
| 1ヶ月程度 | 引きつれ感が和らぎ、仕上がりが安定してくる |
大きく口を開ける動作などは一定期間控えるよう案内されることがあります。
「何本」の前に——そもそも糸リフトが向いているか
本数を考える前に、糸リフトが適しているかの見極めが大切です。比較的初期のゆるみ・ハリ不足にはHIFU(ハイフ)が、下がったボリュームの引き上げには糸リフトが向く傾向があります。重度のたるみには糸リフト単独では物足りないこともあり、組み合わせが検討されます。「何本必要か」は、糸リフトが適応と判断されたうえでの話、と捉えると後悔を避けられます。
院長(能登谷)より:本数のご相談に来られた方でも、状態によっては「今は糸リフトより別の方法が合います」とお伝えすることがあります。本数ありきではなく、その方に必要な設計から考えます。
まとめ
糸リフトの本数は、一般的な目安として両側6〜10本とされますが、年代・部位・悩みの程度・糸の種類によって大きく異なります。本数は設計の結果として決まるもので、最初に決めるのは「どこに・どの方向で入れるか(ベクター)」です。多すぎは引きつれ・不自然感・非対称のリスクを、少なすぎは効果不足・早期退縮を招きます。必要最小限の本数で最大の自然な効果を出すことが技術の本質です。当院ではカウンセリングで顔のたるみのマッピングから始め、ベクター設計を先に行ったうえで最適な本数・糸の種類を提案しています。
監修:能登谷 翔 医師(たるみリフト専門医/美容外科歴10年・糸リフト症例2000件以上/日本形成外科学会・美容外科学会 正会員)/gift clinic 銀座 院長