怖いのは針より、知らずに受けることです。

ヒアルロン酸注入はどのくらい痛いのか。

ヒアルロン酸注入の痛みを気にせず穏やかな女性のイラスト

ヒアルロン酸注入は「痛い施術」か——結論から

先に結論を言うと、ヒアルロン酸注入は「注射」であって「手術」ではありません。麻酔を適切に使えば、多くの方が想像していたよりずっと軽い痛みで終わります。とはいえ針を刺す以上、無痛ではありません。唇のように神経が集まる部位ではチクッとした痛みが残りますし、施術後数日は軽い腫れや内出血が出ることもあります。

「注射が苦手」「痛みに敏感」という方ほど、当日になって初めて工程を知るのではなく、事前にどの工程でどのくらいの痛みが出るのかを把握しておくべきです。知っているかどうかだけで、当日の不安の大きさはまったく変わります。

たるみ治療の中で、ヒアルロン酸注入はどんな役割を担うのか

たるみは、皮膚がたるむというより、支えていた脂肪や皮下組織が下に沈み込むことで起こります。糸リフトは、その下がった組織を引き上げて元の位置に戻す施術ですが、加齢とともに脂肪そのものの体積が減ってしまった部位は、引き上げるだけでは元のふっくらとした状態には戻りません。ここでボリュームを補う役割を担うのが、ヒアルロン酸注入です。

たるみ・糸リフトを専門にする医師がヒアルロン酸を扱う場合、「引き上げる」べきか「補う」べきか、あるいはその両方が必要かという見極めそのものが施術設計の核になります。この見極めがあってはじめて、必要最小限の注入で済ませる方向に針が向きます。本来は糸リフトで対応すべき下垂を、ヒアルロン酸の量を増やすことだけで補おうとすると、注入量がかさむ分だけ腫れや内出血のリスクも上がってしまいます。痛みやダウンタイムへの配慮は、こうした設計判断の延長線上にあります。

施術中の痛み——工程ごとの目安

表面麻酔(麻酔クリーム)——待つ時間で痛みが変わる

多くのクリニックでは、注入前に麻酔クリームを塗布し、10〜20分ほど時間を置いてから施術に入ります。塗ってすぐでは皮膚の深部まで麻酔が浸透していないため、待ち時間を惜しんで施術に入ると、針を刺す瞬間の痛みがそのまま残ります。逆に十分な時間を置けば、皮膚表面の感覚はかなり鈍くなり、刺入時のチクッとした痛みは大きく軽減されます。

製剤に含まれる麻酔成分——施術の後半ほど痛みが減る

近年主流のヒアルロン酸製剤の多くには、あらかじめリドカインという局所麻酔成分が配合されています。注入した箇所から麻酔が効き始めるため、施術の最初の1本目より、後半に進むにつれて痛みを感じにくくなる方が多いです。

針・カニューレによる違い——鋭い痛みか、鈍い圧迫感か

ヒアルロン酸の注入には、先端が尖った針(ニードル)と、先端が丸く柔らかいカニューレの2種類の器具が使われます。ニードルは1点を細い針で貫通させるため、狙った位置にピンポイントで届けやすい一方、貫通する回数が増えるほどチクチクとした鋭い痛みと内出血のリスクが積み重なります。カニューレは皮膚に開けた小さな穴を1か所だけ作り、そこから皮下を滑らせるように扇状に広い範囲へ届けるため、皮膚を何度も貫通する鋭い痛みは大きく減る一方、皮下を進む際の鈍い圧迫感は残ります。広い範囲に均一に入れたい部位はカニューレ、ピンポイントで少量を足したい部位はニードルというように、痛みの種類そのものが器具選びの判断材料になります。

部位による痛みの感じ方の違い

同じ量でも、部位によって痛みの感じ方は変わります。理由は、その部位の神経の集まり方と皮膚の厚みです。

  • :口唇周囲は感覚神経の枝が密集しているため、他の部位より鋭い痛みを感じやすい部位です。麻酔クリームに加えて、神経の走行を避けた刺入点を選ぶことで痛みを抑えます。
  • こめかみ・目の下:皮膚が薄く、骨や血管が近いため、痛みというより圧迫感や突っ張り感として感じる方が多い部位です。
  • 頬・あご:皮下脂肪が厚く神経の枝も少ないため、比較的痛みを感じにくい部位です。
  • ほうれい線:針の刺入自体は軽度ですが、表情筋の近くに入れるため注入時の圧迫感を感じやすい部位です。

院長(能登谷)より:
痛みの感じ方は部位と器具の選び方でかなり変わります。唇やこめかみなど敏感な部位は、麻酔をしっかり効かせる時間を惜しまないこと、カニューレが向く部位では積極的に使うことを心がけています。「注射が苦手」という方には、事前にそう伝えてもらえれば工夫の余地はたくさんあります。

施術後の痛み・腫れ・内出血の経過

当日〜翌日

注入直後は、針を刺した部分にヒリヒリ感や圧迫感が残ることがあります。腫れは当日から出始め、翌朝がもっとも強く感じる方が多い傾向があります。内出血が出た場合も、この時期に色が濃く見えやすいです。

2日目〜4日目

腫れのピークは過ぎ、徐々に落ち着いていきます。内出血が出た場合は、この時期に黄色っぽく変色しながら薄くなっていくことが多いです。

5日目〜1週間

多くの方はこの時期までに、日常生活で気にならない程度まで落ち着きます。触ったときの違和感やしこりのような感触が残る場合もありますが、時間とともに馴染んでいきます。

1週間〜2週間

腫れ・内出血はほぼ目立たなくなり、最終的な仕上がりに近づいていきます。むくみが完全に引くことで、注入直後より落ち着いた自然な状態になる方が多いです。

ダウンタイムの経過を示す抽象タイムラインイラスト

ダウンタイムの経過(目安)

時期 状態
当日〜翌日 腫れ・圧迫感がピーク。内出血が出る場合はこの時期に色が濃い
2〜4日目 腫れが徐々に軽減。内出血は黄色っぽく変色
5日目〜1週間 日常生活で気にならない程度に落ち着く
1〜2週間 腫れ・内出血がほぼ消失。最終的な仕上がりに近づく

痛み・腫れ・内出血を抑えるための工夫

  • 麻酔クリームの時間を十分に取る:急がずしっかり待つことで痛みを軽減できます。
  • カニューレの活用:部位によっては内出血や痛みを抑えやすい器具です。
  • 注入前後の血流に影響する行動を避ける:施術前後の飲酒や、血流を促す激しい運動は内出血が出やすくなる要因とされます。
  • 施術当日〜翌日は冷やす:腫れや内出血を抑える目的で、冷却が勧められることが多いです。
  • 血をサラサラにする薬・サプリの事前申告:一部の薬剤やサプリメントは内出血のリスクに影響するため、事前に服用状況を伝えることが大切です。

院長(能登谷)より:
内出血は「絶対に出ない」とは言い切れません。血管の走行には個人差があり、どれだけ注意しても一定確率で起こり得るものです。だからこそ、事前に起こりうる経過を正直にお伝えし、心配な予定がある方にはタイミングを調整してもらうようにしています。

施術前に準備しておくとよいこと

痛みや内出血を必要以上に強くしないために、施術前からできる準備もあります。

  • 施術前数日は飲酒を控える:アルコールは血流を促進するため、内出血が出やすくなります。
  • 血をサラサラにする薬・サプリメントの申告:一部の鎮痛剤や、EPA・DHA・ビタミンEなどのサプリメントは出血傾向に影響することがあるため、常用している場合は事前に伝えてください。
  • 激しい運動・サウナは施術前後を避ける:血流が過度に促進される行動は、腫れや内出血を強めることがあります。
  • 人前に出る予定を踏まえてスケジュールを組む:写真撮影や大切な予定の直前を避け、数日の余裕を見て施術日を決めると安心です。

妊娠中・授乳中・持病がある場合

妊娠中・授乳中の方は、安全性を慎重に判断する必要があるため、ヒアルロン酸注入は基本的に見合わせることが推奨されます。また、出血傾向のある持病がある方、特定の薬を常用している方は、事前に必ず申告してください。判断が難しい場合は、かかりつけ医への確認を挟むこともあります。

施術後の生活の目安

行為 目安
洗顔・スキンケア 施術当日から可能(強くこすらない)
メイク 針を刺した部分を避ければ当日から可能な場合が多い
入浴(シャワー) 当日から可能
湯船・サウナ 当日〜翌日は避け、腫れが落ち着いてから
激しい運動 数日は控える
飲酒 当日〜翌日は控える
マッサージ・強い圧迫 数週間は注入部位を避ける

これらはあくまで一般的な目安であり、注入した部位・量によって調整が必要な場合があります。施術後の説明で個別に確認しておくと安心です。

痛みの感じ方には個人差がある

ここまでの経過はあくまで一般的な傾向であり、痛みの感じ方・腫れの出方には個人差があります。同じ部位に同じ量を入れても、「全然痛くなかった」という方もいれば、「思ったよりつっぱった」という方もいます。皮膚の厚さ、血管の走行、痛みへの感受性、当日の体調などが影響すると考えられています。

「他の人はどうだったか」という情報はあくまで参考程度にとどめ、自分の体感を基準に、痛みが強ければ我慢せずスタッフや医師に伝えることが大切です。

通常の経過を超える場合のサイン

腫れ・内出血・軽い痛みは想定内の経過ですが、次のような場合は早めにクリニックに連絡することが必要です。

  • 注入直後からの、想定を大きく超える強い痛み
  • 注入部位より明らかに広い範囲の急激な白色化・網目状の変色
  • 数日経っても悪化し続ける腫れ、発熱を伴う症状

これらはまれではあるものの、血管への影響や感染を示すサインである可能性があります。自己判断で様子を見続けず、早めの連絡が推奨されます。特に注入直後からの急激な変化は時間との勝負になるため、「少し様子を見てから連絡しよう」と先延ばしにせず、気づいた時点ですぐに伝えることが結果的に安心につながります。

部位別に見る、痛み・ダウンタイムが強く出やすい要因の整理

部位 痛みの感じ方 ダウンタイムの特徴
神経が多く感じやすい 腫れが目立ちやすいが1週間ほどで落ち着く
こめかみ・目の下 皮膚が薄く敏感 内出血が目立ちやすい部位
比較的軽度 腫れは出るが日常生活への影響は少なめ
あご 比較的軽度 フェイスライン周囲にやや圧迫感が残ることがある
ほうれい線 圧迫感を感じやすい 表情を動かすと違和感が出やすい

同じ量・同じ製剤でも、部位によってこれだけ体感が変わります。事前にどの部位で施術するかを踏まえて、当日・翌日以降の過ごし方を考えておくと安心です。

経験の少ない施術者・不慣れな手技が痛みに与える影響

痛みやダウンタイムの強さは、麻酔の使い方だけでなく、注入する医師の手技によっても左右されます。針やカニューレを何度も出し入れする、狙った層に一度で到達できずやり直しが増える、といった状況では、痛みや内出血のリスクが高まりやすくなります。解剖学的な位置関係を理解し、必要最小限の刺入回数で狙った層に到達できる技術は、痛みを抑えるうえでも重要な要素です。カウンセリングの段階で、施術者がどの程度の経験を持っているか、部位ごとにどのような器具を使い分けているかを確認しておくと、当日の痛みへの不安を減らすことにつながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. ヒアルロン酸注入は麻酔なしでもできますか?

多くのクリニックでは麻酔クリームや、リドカイン配合の製剤を使用します。痛みへの不安が強い場合は、事前に伝えることでより丁寧な麻酔対応をしてもらえます。

Q2. 内出血は必ず出ますか?

必ず出るわけではありません。血管の走行には個人差があり、注意深く施術しても一定の確率で起こり得るものです。器具の選び方や施術者の技術によってリスクを抑えることはできます。

Q3. 施術当日に予定があっても大丈夫ですか?

軽い腫れが出ることがあるため、人前に出る予定がある場合は数日の余裕を見ておくと安心です。内出血が出た場合、メイクでカバーできる程度になるまで数日かかることもあります。

Q4. 唇やこめかみなど敏感な部位は特に痛いですか?

神経や皮膚の薄さの関係で、唇・こめかみ・目の下は比較的痛みや圧迫感を感じやすい部位です。麻酔の時間を十分に取ることで軽減できます。

Q5. 痛みが強くて注射当日に中断したくなったら、途中でやめられますか?

途中で中止することは可能です。無理に最後まで続ける必要はなく、痛みが強い場合はその都度伝えてください。

Q6. ヒアルロン酸注入の費用はどのくらいですか?

使用する製剤や量によって変わります。モニター価格の設定があるクリニックもあります。最新の料金については料金ページをご確認ください。

監修:能登谷 翔 医師(たるみリフト専門医/美容外科歴10年・糸リフト症例2000件以上/日本形成外科学会・美容外科学会 正会員/gift clinic 銀座 院長)