糸リフトで頬がこける?原因と設計での回避。

糸リフト後に頬がこけて見える原因を銀座のたるみリフト専門医が解説。

頬の自然なボリュームを保った女性のイラスト
頬がこけないための糸リフト設計を示す図解イラスト

結論:頬こけは「引きすぎ」でなく「戻す設計の欠如」で起きる

糸リフトで頬がこけて見えるという声は実際にあります。ただしこれは、糸リフトという施術そのものの副作用というより、引き上げることだけを目的にした設計によって起こりやすい現象です。

「糸リフトをすると頬がこけるって聞いた」「引き上げすぎて痩せた印象になるのが怖い」という相談は少なくありません。この不安は正当なものです。実際に、頬の中央部がこけて疲れた印象になってしまう症例は存在します。この記事では、なぜ頬こけが起きるのか、一時的なものと本当のこけの違い、防ぐための設計、起きてしまった場合の対処を整理します。

頬こけが起きるメカニズム

たるみは、皮膚が伸びているというより、頬の脂肪コンパートション(脂肪の塊)が重力によって下方に移動する現象です。糸リフトの本来の役割は、この下がった脂肪を本来あった位置に戻すことにあります。

ところが、「とにかく引き上げる」ことだけを目的にした設計では、下がった脂肪を持ち上げる際に頬の中央部のボリュームが失われたように見えてしまうことがあります。脂肪そのものが減るわけではありませんが、脂肪の”塊”を強く上方向へ引っ張ることで、もともとボリュームがあった中央部が相対的に凹んで見える——これが「頬こけ」として認識される現象の正体です。

院長(能登谷)より:
頬のたるみは、脂肪の位置が下がって起きています。だから「引き上げる」だけでは不十分で、「元あった位置に戻す」という設計が必要です。ただ上に引っ張るだけの設計は、頬の中央のボリュームを奪ってしまい、こけて見える原因になります。私が症例2000件以上を通じて大切にしているのは、引き上げながらもボリューム感を損なわない配置です。

一時的な「こけて見える」と本当のこけの違い

「頬がこけた」と感じる状態には、実は性質の異なる2種類があります。

状態 起きている変化 経過
一時的なこけ 施術直後の腫れ・むくみが引く過程で、頬のふくらみが目立たなくなる 数週間〜1ヶ月程度で自然な状態に落ち着く
設計によるこけ 引き上げすぎ・脂肪の配置設計のミスマッチにより、ボリュームが相対的に失われる 自然には戻りにくく、追加の対応が必要な場合がある

施術直後は腫れやテンション感が強く、「頬のふくらみが減った」と感じやすい時期です。この時期の見た目だけで判断せず、1ヶ月程度の経過を見てから評価することが大切です。それでもこけた印象が続く場合は、設計によるものである可能性を考える必要があります。

こけやすい人の特徴

すべての人に均等に起こるわけではなく、こけやすさには傾向があります。

もともと頬の脂肪が少ない方

頬にボリュームが少ない状態で引き上げを行うと、支えるべき脂肪自体が少ないため、こけて見えるリスクが相対的に高くなります。

加齢による脂肪の萎縮が進んでいる方

たるみには「脂肪が下がる下垂型」と「脂肪自体が減る萎縮型」の2種類が混在することがあります。萎縮型の要素が強い方に、下垂型向けの強い引き上げ設計を行うと、こけが目立ちやすくなります。

多本数を浅い層に集中させた設計を受けた方

浅い層に糸を集中させると、皮膚表面に近い部分だけが引っ張られ、深部のボリューム感とのバランスが崩れやすくなります。

急激な体重減少があった方

施術後に大きく体重が減った場合、頬の脂肪ボリューム自体が減少し、引き上げた組織が「空洞感」として見えることがあります。これは施術の設計というより、その後の体重変化による影響です。

施術と関係なく起きる「頬こけ」との見分け方

もう一つ知っておきたいのが、糸リフトとは関係なく進行する頬のボリューム減少です。加齢とともに頬の脂肪自体が自然に減っていく変化は、糸リフトを受けたかどうかに関わらず起こります。

施術後に頬のこけを感じた場合、それが「施術による設計の影響」なのか「加齢や体重変化による自然な脂肪減少」なのかを切り分けることが重要です。目安としては、施術直後から数週間の間に急に目立った変化であれば施術の影響である可能性が高く、施術から半年〜1年以上経ってからゆっくり進んだ変化であれば、加齢や生活習慣による自然な変化である可能性が考えられます。

この切り分けを自己判断するのは難しいため、気になる場合はいつ頃からその変化を感じ始めたかを整理したうえで、クリニックに相談することをおすすめします。

頬こけを防ぐ設計

頬こけを防ぐために、設計段階で意識すべき点を整理します。

脂肪の萎縮の有無を事前に評価する

下垂型なのか萎縮型なのか、あるいはその両方が混在しているのかを見極めたうえで、引き上げの強さと方向を決めます。萎縮の要素が強い場合は、引き上げだけでなくボリューム補完を組み合わせる判断が必要になることもあります。

引き上げる方向を「上」だけにしない

真上に引くだけでなく、脂肪コンパートションが本来あった位置——多くの場合は斜め上方向——に戻すように設計することで、中央部のボリュームが不自然に失われるのを防げます。

本数を絞り、狙った部位に的確に配置する

多く入れれば入れるほど良いという考え方ではなく、必要な部位に必要な本数を的確に配置することが、ボリューム感を保ちながら引き上げるための基本です。

院長(能登谷)より:
カウンセリングでは、頬の脂肪が下がっているのか、それとも元々のボリュームが減ってきているのかを必ず確認します。この見極めを飛ばして「とにかく引き上げましょう」という提案をすると、こけた印象を生みやすくなります。無理に売らず、今の状態に本当に必要な設計だけを考えることが、こけを防ぐ一番の方法だと考えています。

こけてしまった場合の対処

万が一、施術後に頬のこけが気になる場合、対応の選択肢はいくつかあります。

経過観察

施術直後の腫れが引く過程での一時的な変化であれば、1ヶ月程度で自然に落ち着くことがほとんどです。まずは焦らず経過を見ることが基本です。

ヒアルロン酸によるボリューム補完

1ヶ月以上経過してもこけた印象が続く場合、頬の中央部にヒアルロン酸を追加してボリュームを補うことで、引き上げた輪郭とのバランスを整える対応が検討されます。

まれなケースとしての抜糸

テンションが強すぎて不自然な陥凹が強く出ている場合、まれに糸の抜去が検討されることもあります。ただしこれは一般的な対応ではなく、状態を見たうえでの個別判断になります。

いずれの対応も、自己判断で放置したり自分で処置しようとしたりせず、まずはクリニックに相談し、こけの原因が一時的なものか設計によるものかを評価してもらうことが最初のステップです。

事前に防ぐためにカウンセリングで確認したいこと

頬こけのリスクを事前に減らすために、カウンセリング時に確認しておきたい点を整理します。

  • 自分の頬のたるみが「下垂型」か「萎縮型」か、どちらの要素が強いか説明してもらえるか
  • 引き上げる方向・角度について、単に「上に引く」以外の説明があるか
  • 本数について「多いほど良い」という提案でないか
  • ヒアルロン酸などボリューム補完の選択肢についても触れてくれるか

これらを確認することで、こけのリスクを事前にある程度把握したうえで施術に臨むことができます。

リスク・注意事項

糸リフトは医療行為であり、頬こけ以外にも以下のようなリスクがあります。

  • 内出血・腫れ・熱感・かゆみ(施術後1〜2週間程度)
  • 痛み・異物感・引きつれ・しびれ(数週間程度、個人差あり)
  • 頬の陥凹・凹凸感(設計や個人差により、まれに長引く場合があります)
  • まれに感染・糸の露出が起こることがあります

効果・仕上がり・ダウンタイムには個人差があります。気になる変化があれば早めにクリニックへ相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 糸リフトをすると必ず頬がこけますか?

必ずではありません。頬こけは、引き上げることだけを目的にした設計や、脂肪の萎縮傾向を見落とした設計で起こりやすい現象です。下がった脂肪の位置を戻す設計を行えば、こけを防ぎながら引き上げ効果を出すことができます。

Q2. 施術直後に頬がこけて見えますが大丈夫ですか?

施術直後は腫れやテンション感の影響で、一時的にふくらみが目立たなくなることがあります。多くは数週間〜1ヶ月程度で自然な状態に落ち着きます。この時期だけで判断せず、経過を見ることをおすすめします。

Q3. こけやすい人の特徴はありますか?

もともと頬の脂肪が少ない方、加齢による脂肪の萎縮が進んでいる方は、こけて見えるリスクが相対的に高くなる傾向があります。事前の評価で萎縮の要素が強いとわかれば、設計を調整して対応します。

Q4. こけてしまった場合、治せますか?

一時的なものであれば経過観察で自然に落ち着くことが多いです。1ヶ月以上経ってもこけた印象が続く場合は、ヒアルロン酸によるボリューム補完で対応することが検討されます。まれに抜糸が検討されるケースもあります。

Q5. こけを防ぐために事前にできることはありますか?

カウンセリングで、自分のたるみが下垂型か萎縮型かを確認してもらい、引き上げる方向や本数について「多ければ良い」という提案でないかを見極めることが有効です。ボリューム補完の選択肢についても事前に相談しておくと安心です。

まとめ——頬こけは設計次第で防げる

糸リフトによる頬こけは、施術そのものの避けられない副作用ではなく、引き上げることだけを目的にした設計で起こりやすい現象です。脂肪の位置がどう変化しているかを見極め、下がったボリュームを本来の場所に戻す設計を行うことで、こけを防ぎながら自然な引き上げ効果を目指せます。

  • 頬こけは「引きすぎ」でなく「戻す設計の欠如」で起きる
  • 施術直後の一時的なこけと、設計によるこけは区別して考える
  • 頬の脂肪が少ない方・萎縮傾向がある方はリスクが相対的に高い
  • 起きてしまった場合はヒアルロン酸での補完など対応の選択肢がある

「引き上げる」と「元の位置に戻す」は似ているようでまったく違う設計です。カウンセリングでこの違いを丁寧に説明してくれるかどうかが、こけを防ぐための一番の判断材料になります。

監修:能登谷 翔 医師(たるみリフト専門医/美容外科歴10年・糸リフト症例2000件以上/日本形成外科学会・美容外科学会 正会員/gift clinic 銀座 院長)