クマ取りとヒアルロン酸の併用。

クマ取り(脱脂)とヒアルロン酸注入は、膨らみとくぼみという逆の原因にアプローチする施術です。

クマ取りとヒアルロン酸の併用を相談する女性と男性医師のイラスト

クマ取りとヒアルロン酸は「別の施術」——まず結論から

目の下のクマの相談を受けていると、「クマ取りとヒアルロン酸、結局どっちがいいんですか」という質問によく出会います。結論から言うと、この二つは原因へのアプローチがまったく逆の施術です。

クマ取り(脱脂)は、目の下に膨らんだ脂肪を取り除くことで、その脂肪が作っていた影をなくす施術です。一方でヒアルロン酸注入は、目の下にできたくぼみに体積を足すことで、くぼみが作っていた影をなくす施術です。「取る」と「足す」、真逆の発想なので、本来はどちらか一方で解決するケースが大半です。

ただし実際の目元は、膨らみとくぼみが同時に存在していることが珍しくありません。ここに「併用」という選択肢が出てくる理由があります。

なぜ膨らみとくぼみが同居するのか

目の下の脂肪は、加齢とともに少しずつ下方向・前方向に押し出されるように動きます。これは顔全体のたるみと同じ構造で、支えている膜や靭帯が緩むことで、脂肪の「あるべき位置」がずれていくために起こります。

このとき、脂肪が押し出された部分は膨らんで影を作り(黒クマ)、その下側や境目にあたる部分は逆に脂肪が薄くなり、くぼんで見えることがあります。頬骨の高い位置に段差ができ、光の当たり方で「膨らみの下にさらに暗い溝がある」ように見える状態です。俗に「ゴルフボールのようなクマ」と表現されることもあるタイプです。

この場合、膨らみだけを脱脂で取り除いても、もともとあったくぼみ・段差が目立つようになることがあります。逆に、くぼみだけヒアルロン酸で埋めても、膨らみ自体は残るため根本的な解消にはなりません。膨らみとくぼみの両方が視認できる状態では、両方に個別のアプローチをする=併用が選択肢に挙がってきます。

院長(能登谷)より:
目元のたるみも、頬やフェイスラインのたるみと本質は同じです。脂肪が本来あるべき位置からずれて、ある場所は膨らみ、ある場所はくぼむ。だから「取ればいい」「足せばいい」という単純な話ではなく、どこにどれだけの脂肪があって、どこが不足しているかを立体的に見て設計する必要があります。

クマのタイプ別・向いている施術の目安

クマ・くぼみの状態 主な原因 向いている施術の方向性
目の下がぷっくり膨らみ、影ができている 脂肪の膨らみ(黒クマ) 脱脂(クマ取り)
膨らみはなく、くぼみ・溝で影ができている 脂肪の不足・皮膚の薄さ ヒアルロン酸注入
膨らみの下に段差状のくぼみがある 脂肪の偏在(膨らみ+くぼみ) 脱脂+ヒアルロン酸の併用が検討される
色味だけが茶色・青みがかっている 色素沈着・血行不良 脱脂・注入とも効果は限定的(別アプローチ)

色味由来のクマ(茶クマ・青クマ)は、脂肪の位置の問題ではないため、脱脂・ヒアルロン酸のどちらでも根本的な改善にはつながりにくい点は正直に伝えておきたいところです。この場合は美容皮膚科的なケアなど、別の切り口での相談が適しています。

自分のクマがどのタイプに近いか、鏡の前で確認する簡単な目安もあります。上を向いて影が薄くなるなら膨らみ由来の可能性が高く、指で軽く皮膚を引っ張っても影が変わらないなら色素由来の可能性が高い、といった具合です。ただしこれはあくまで簡易的な目安であり、実際には膨らみ・くぼみ・色味が同時に存在していることも多いため、最終的な判断はカウンセリングで実物を見てもらうのが確実です。

併用が慎重になるケース・向かないケース

併用にはメリットがある一方で、次のような場合はより慎重な判断が必要です。

皮膚がもともと薄く、色素沈着が強いケース

膨らみとくぼみを整えても、色味由来の暗さが残るため「期待したほど明るくならない」と感じることがあります。事前に色味の改善は別軸の課題であることを共有しておく必要があります。

過去にヒアルロン酸を注入した経験があり、状態が把握しにくいケース

以前に別のクリニックで注入した製剤が残っている場合、現在どの程度の量がどこに入っているかを正確に把握しないまま追加すると、想定以上に膨らんでしまうことがあります。触診や必要に応じた画像診断で現状を確認したうえで計画を立てることが望ましいです。

皮膚のたるみそのものが強いケース

くぼみに見える部分が、実は脂肪の不足ではなく皮膚のたるみ・弛緩による影であることもあります。この場合、ヒアルロン酸で埋めても皮膚の余りが解消されるわけではないため、たるみ自体への対処(スキンケアや別の施術の検討)を優先したほうが合理的なケースもあります。

クマ取りとヒアルロン酸で整える範囲を示す図解イラスト

併用する場合の順番——同時か、時期をずらすか

併用が検討される場合、実務的には大きく二つの進め方があります。

同日または近い時期にどちらも行う

脱脂で膨らみを取り除いたうえで、残った段差・くぼみにヒアルロン酸を足す形です。仕上がりのイメージを一度に作りやすい一方、腫れ・内出血などのダウンタイムが重なるため、術後の見た目の変化が大きくなりやすい点は理解しておく必要があります。

脱脂を先に行い、経過を見てからヒアルロン酸を検討する

脱脂後、腫れが引いて本来の状態が見えてきたタイミング(目安として1〜2ヶ月程度)で、まだ気になるくぼみがあればヒアルロン酸で補うという進め方です。過剰に注入してしまうリスクを避けやすく、必要な分だけを見極めて足せるという利点があります。

どちらが向くかは、膨らみとくぼみの比率、仕事や予定に合わせたダウンタイムの取り方によって変わります。一律に「こうすべき」という正解はなく、カウンセリングで状態を見たうえで相談する部分です。

進め方別の目安

進め方 仕上がりが見えるまでの目安 向いている人
同時に施術 腫れが落ち着く1〜2週間程度 一度の来院回数を減らしたい人
脱脂を先行、経過を見て後日ヒアルロン酸 脱脂後1〜2ヶ月+注入後数日 過不足のない仕上がりを重視したい人

同時施術は通院回数を抑えられる一方、腫れている状態でくぼみの深さを正確に見極めるのは医師にとっても難しい面があります。逆に時期をずらす方法は、脱脂の腫れが完全に引いた「素の状態」を見てから必要な量だけを足せるため、結果として過不足の少ない仕上がりにつながりやすいという考え方もあります。どちらを選ぶにしても、メリット・デメリットを理解したうえで決めることが大切です。

併用のメリットとリスク

メリット

  • 膨らみとくぼみの両方に対応できるため、影の見え方が総合的に改善しやすい
  • 段差がなだらかになり、目元全体の印象が均一になりやすい

リスク・デメリット

  • 両方を行う場合、ダウンタイムの内容が増える(腫れ・内出血が脱脂由来・注入由来の両方から出る)
  • ヒアルロン酸を入れすぎると、逆に膨らんで見える・不自然な段差ができるリスクがある
  • 脱脂とヒアルロン酸の順番・量のバランスを誤ると、狙った仕上がりにならないことがある

院長(能登谷)より:
ヒアルロン酸は「足りない部分に足りない分だけ」使う発想が基本です。くぼみが気になるからと多めに入れると、今度は逆に膨らんで見えてしまうことがあります。特に脱脂と併用するときは、脱脂後の状態を見てから必要最小限を足す、という順序を大事にしています。無理に一度で完成させようとしないことが、自然な仕上がりにつながると考えています。

費用・カウンセリングで確認しておきたいこと

併用する場合、脱脂とヒアルロン酸それぞれに費用がかかるため、単独で行うより総額は上がります。モニター価格の設定があるクリニックもあるため、検討段階では最新の料金ページを確認しておくと予定が立てやすくなります。

カウンセリングでは、以下を確認しておくと判断の材料になります。

  • 自分のクマが膨らみ主体か、くぼみ主体か、両方が混在しているか
  • 併用する場合、同時に行うのか時期をずらすのか、その理由
  • ヒアルロン酸を使う場合、どの製剤をどの程度の量で想定しているか
  • 予定しているダウンタイムの日数(仕事・イベントとの兼ね合い)
  • 過去に注入した製剤がある場合は、その種類・時期・量をできる範囲で共有できるか
  • 万が一仕上がりに違和感があった場合、ヒアルロン酸は溶解剤で調整できる旨の説明があるか

特に最後の「調整できるかどうか」は、ヒアルロン酸ならではの利点です。脱脂で取り除いた脂肪は元に戻せませんが、ヒアルロン酸は時間とともに吸収されていくうえ、必要であれば溶解剤で早期に量を減らすことも可能とされています。この可逆性は、初めて併用を検討する方にとって安心材料になりやすい部分です。逆に言えば、脱脂については「取りすぎ」が起きないよう、事前のカウンセリングでどの程度の範囲・量を想定しているかをすり合わせておくことが、併用全体の満足度を左右します。

よくある質問(FAQ)

Q1. クマ取りとヒアルロン酸、どちらから試すべきですか?

膨らみが主体であれば脱脂から、くぼみが主体であればヒアルロン酸から検討するのが基本です。どちらが主体か自己判断が難しい場合は、カウンセリングで実際の状態を見てもらうのが確実です。

Q2. 併用すると効果が出るまでの期間は長くなりますか?

同時に行う場合は、脱脂の腫れが引く期間(数日〜1週間程度)を経て仕上がりが見えてきます。時期をずらす場合は、脱脂後の経過を見てからヒアルロン酸を追加するため、最終的な仕上がりまでに数ヶ月かかることもあります。

Q3. ヒアルロン酸だけで黒クマの膨らみは改善しますか?

膨らみ自体が原因の黒クマは、ヒアルロン酸を足しても改善しにくいとされています。むしろ膨らみの下にさらに体積を足すことで、影が強調されてしまう可能性もあるため注意が必要です。

Q4. 併用の費用はどのくらいかかりますか?

脱脂とヒアルロン酸それぞれの費用が発生するため、単独施術より総額は高くなります。範囲や製剤の種類によって変わるため、最新の料金についてはクリニックの料金ページを確認してください。モニター価格の設定がある場合もあります。

Q5. 併用したら不自然になりませんか?

量とバランスを誤ると不自然になるリスクはあります。膨らみとくぼみの状態を見極め、必要な分だけを足していく設計であれば、不自然さを抑えながら影を減らすことは可能とされています。

監修:能登谷 翔 医師(たるみリフト専門医/美容外科歴10年・症例2000件以上/日本形成外科学会・美容外科学会 正会員/gift clinic 銀座 院長)