同じ「クマ」でも、原因が違えば消し方も違う。
目の下のクマには黒・青・茶の3種類があり、原因も見分け方も対処法もそれぞれ異なります。

クマは1種類ではない——まず「タイプ分け」から
「クマが気になる」というご相談は非常に多いのですが、その原因は一つではありません。大きく分けると、次の3タイプに分類できます。
- 黒クマ:目の下の脂肪のふくらみが影を作ることで暗く見えるタイプ
- 青クマ:皮膚が薄く、その下の血管が透けて見えるタイプ
- 茶クマ:色素沈着によって皮膚そのものが茶色く見えるタイプ
これらが混ざり合った「複合型」も珍しくありません。タイプが違えば有効な対処法もまったく異なるため、まず自分のクマがどれに近いかを知ることが遠回りを防ぐ一番の近道です。この記事では、鏡の前で今すぐ試せる見分け手順と、タイプ別に向いている治療の考え方を順に解説します。

鏡の前でできる3ステップ見分け手順
自分のクマがどのタイプに近いか、次の3ステップで見当をつけられます。手順どおりに試してみてください。
ステップ1:明るい自然光の下で正面を見る
窓際など自然光が入る場所で、正面から鏡を見ます。目の下に立体的な影・ふくらみが見えるなら黒クマの要素が強く、平坦なのに色だけ暗いなら青クマか茶クマの要素が強いと判断できます。蛍光灯の下だけで判断すると影が誇張されて見えることがあるため、自然光での確認が基準になります。
ステップ2:人差し指で下まぶたの皮膚を軽く下に引っ張る
下まぶたの皮膚を指で軽く下に引っ張りながら鏡を見ます。
- 影が薄くなる、または位置がずれる → 黒クマの要素が強い
- 色味がかなり薄くなる → 青クマの要素が強い(血管の透けが原因のため、皮膚を伸ばすと薄まりやすい)
- ほとんど変化しない → 茶クマの要素が強い(皮膚自体の色素のため、引っ張っても変わらない)
ステップ3:上を向いて鏡を見る
顎を上げて鏡を見上げます。ふくらみと影がより目立つようになるなら黒クマが優位、変化が少ないなら青クマ・茶クマが優位と考えられます。
3つのステップの結果を組み合わせると、自分のクマがどのタイプに近いか大まかな見当がつきます。朝と夕方、疲れている日とそうでない日など、複数のタイミングで試すと精度が上がります。ただし左右で結果が異なる場合や、複数のタイプが同程度に当てはまる場合は、鏡だけでの判断には限界があります。その場合は無理に一つのタイプに当てはめず、診察で確認するのが確実です。
同じ手順を1回だけでなく複数回試す理由は、クマの見え方が光量・体調・時間帯によって変動するタイプがあるからです。1回のチェックで「これが答え」と決めつけず、条件を変えて何度か確認したうえで、あたりをつけた状態でカウンセリングに臨むと、診察での見立てとすり合わせやすくなります。
黒クマの見分け方——影・立体感が特徴
黒クマは、加齢や体質によって目の下の脂肪(眼窩脂肪)が前方に押し出され、そのふくらみが光を遮って影になることで生じます。実際には「黒い」というより「暗い影」に近く、光の当たり方によって濃さが変わるのが特徴です。家族にも似た特徴がある、若い頃から体質的に目立っていたという人も少なくありません。
ステップ2で影が薄くなった、ステップ3で上を向くとふくらみが目立った、という人は黒クマの要素が強いタイプです。黒クマは立体的な問題であるため、色を薄くするスキンケアや美白ケアだけでは改善しにくく、ふくらみそのものへのアプローチが必要になります。
青クマの見分け方——血行不良・皮膚の薄さが特徴
青クマは、目の下の皮膚が薄いことに加えて血行が滞ることで、皮膚の下を通る血管の色が透けて見えることで生じます。目の周りの皮膚はもともと体の中でも薄い部類に入るため、体質的に青クマが出やすい人もいます。
睡眠不足・疲労時に濃くなる、冬場や冷えているときに濃く見えやすいなど、体調によって色の濃さが変動しやすいのが青クマの特徴です。目をこすった後や、蒸しタオルで温めた後に薄くなることもあります。
黒クマとの違いは「ふくらみの有無」です。ふくらみがなく平坦なのに色だけが暗い場合は、青クマの要素が強いと考えられます。血行を促す生活習慣(睡眠・冷え対策・喫煙を控えるなど)で多少変動することがある一方、体質的な皮膚の薄さが背景にある場合、生活改善だけでは限界があります。
院長(能登谷)より:
「クマ取りをしたい」と来院される方の中には、実は青クマが主体で、脱脂だけでは満足のいく変化が出にくいケースが一定数あります。無理に脱脂を勧めることはせず、まずはタイプを一緒に確認するところから始めています。今のその方に本当に合う選択肢を考えることを大事にしています。
茶クマの見分け方——色素沈着が特徴
茶クマは、皮膚のメラニン色素が沈着することによって、目の下の皮膚そのものが茶色っぽく見えるタイプです。摩擦(目をこする癖)、紫外線の蓄積、アイメイクの落とし残しが主な要因です。アトピー体質やアレルギー体質で目のかゆみが強く、日常的にこすってしまう人にも見られやすい傾向があります。
ステップ2で指で引っ張っても色味がほとんど変わらない、上を向いても下を向いても色の濃さがあまり変わらないという人は、茶クマの要素が強いタイプです。普段から目元をこする癖がある、アイメイクをしっかり落とし切れていない、頬など他の部位にも同様の色素沈着がある人にも多く見られます。
茶クマは皮膚表面の色の問題であるため、脂肪を扱う脱脂の対象にはなりません。美白系のスキンケアや、美容皮膚科的な治療でのアプローチが中心になります。
セルフチェックの一覧表
| チェック項目 | 黒クマの傾向 | 青クマの傾向 | 茶クマの傾向 |
|---|---|---|---|
| 指で引っ張ると | 影が薄くなる/位置がずれる | 色がかなり薄くなる | ほとんど変化しない |
| 上を向くと | 目立ちやすくなる | 変化は少ない | 変化は少ない |
| 疲労・睡眠不足で | あまり変動しない | 濃くなりやすい | あまり変動しない |
| 見た目の質感 | 立体的な影・ふくらみ | 平坦で青紫っぽい | 平坦で茶色っぽい |
| 主な原因 | 脂肪のふくらみ | 血行不良・皮膚の薄さ | 色素沈着 |
この表はあくまで目安です。実際には複数のタイプが重なっている複合型も多く、鏡だけでの自己判断には限界があります。
タイプ別に向いている治療の考え方
- 黒クマ主体:ふくらみによる影が主因のため、脂肪を減らす・移動させる施術(脱脂)や、凹みを埋めるヒアルロン酸注入などが選択肢になります。
- 青クマ主体:血行改善を意識した生活習慣に加え、皮膚を厚くする・血管を目立たせにくくするアプローチが検討されます。脱脂は効果が限定的なことがあります。
- 茶クマ主体:色素沈着への美容皮膚科的なアプローチ、日常的な摩擦を減らす習慣の見直しが中心になります。
- 複合型:どの要素が強いかによって優先順位を決め、必要であれば複数のアプローチを組み合わせて検討します。
いずれのタイプであっても、「見た目の変化がほしい」という気持ちに対して、原因と合っていない施術を選んでしまうと満足度が上がりません。診察では、鏡の前で一緒に指で引っ張ったり上を向いたりしながら、どのタイプが強いのかを確認していきます。やりすぎず、必要な部分だけにアプローチするという考え方は、クマの治療でもたるみの治療でも変わりません。
「クマだと思ったらたるみだった」というケースもある
セルフチェックをしていると、「クマだと思っていたら、実は目の下のたるみだった」というケースに気づくことがあります。目の下から頬にかけての境目に段差ができ、その段差が影となって暗く見える状態です。これは脂肪のふくらみによる黒クマと似て見えますが、原因が少し異なります。
顔のたるみは、脂肪そのものの「位置」が加齢とともに下がることで生じます。目の下の境目にできる段差も、頬の脂肪が下がって目の下との間に溝ができることが一因になっている場合があります。この場合、目の下だけを見て「黒クマ」と判断してしまうと、対処法の見当がずれてしまうことがあります。
見分け方の目安としては、鏡で正面を見たときに「目の下のふくらみ」と「頬との境目の溝」のどちらがより深いかを確認してみると手がかりになります。境目の溝のほうが目立つ場合は、目の下単体の問題ではなく、頬を含めた顔全体のボリュームバランスが関係している可能性があります。
院長(能登谷)より:
30代後半以降になると、目の下のクマの相談で来院された方の頬や輪郭を診察すると、実際にはボリュームが下がっていることが影響しているケースがあります。目の下だけを見て判断せず、顔全体のバランスを診ることを大事にしています。「たるみに必要なのはただ引き上げることではなく、下がった脂肪の位置を元に戻すこと」だと考えているのも、こうした診察の積み重ねからです。
このように、目の下単体の問題なのか、顔全体のたるみが影響しているのかによっても、有効なアプローチは変わってきます。セルフチェックで判断が難しいと感じたら、無理に一つのタイプに当てはめようとせず、診察で顔全体を診てもらうことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自分のクマが何色タイプか自分で判断できますか?
ある程度の目安はセルフチェックでつけられますが、複合型であることも多く、正確な判断には診察が必要です。まずは指で引っ張るテスト、光の当たり方による変化などを確認してみてください。
Q2. 黒クマと青クマは併発しますか?
併発します。ふくらみによる影(黒クマ)と、皮膚の薄さによる血管の透け(青クマ)が同時に存在するケースは珍しくありません。この場合、片方だけへの対処では満足度が上がりにくいことがあります。
Q3. 茶クマはスキンケアだけで改善しますか?
軽度であれば紫外線対策や摩擦を避ける生活習慣の見直しで多少の変化が見られることもありますが、色素沈着が定着している場合は美容皮膚科的な治療が検討されることもあります。
Q4. クマのタイプによって施術の効果は変わりますか?
変わります。原因に合っていない施術を選ぶと、変化を感じにくかったり、他の色味が目立つようになったりすることがあります。タイプの見極めが施術選びの前提になります。
Q5. 疲れると濃くなるのはどのタイプですか?
青クマは血行の状態に影響されやすく、睡眠不足や疲労時に濃く見えやすくなります。黒クマ・茶クマは疲労による変動が比較的少ないタイプです。
まとめ——タイプの見極めが遠回りを防ぐ
- クマには黒(ふくらみ)・青(血行不良)・茶(色素沈着)の3タイプがあり、複合していることも多い
- 明るい場所で正面を見る・指で引っ張る・上を向く、の3ステップでおおまかな見当をつけられる
- タイプによって有効なアプローチはまったく異なり、原因に合わない施術は満足度が上がりにくい
- 最終的な判断は自己診断だけでなく、診察を受けたうえで行うのが確実
自分のクマがどのタイプに近いのかを知ることが、遠回りをせずに合った対処法にたどり着くための第一歩です。
監修:能登谷 翔 医師(美容外科医/美容外科歴10年・症例2000件以上/日本形成外科学会・美容外科学会 正会員/gift clinic 銀座 院長)